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今回は赤ちゃんの言葉に関するコラムです。赤ちゃんが言葉を発する時期や赤ちゃんの言葉の発達の違い、言葉が遅い子の特徴・注意点・相談チェックリストを解説しています。
赤ちゃんの言葉の発達の時期と言葉の発達の違い
『cooing(クーイング)』は赤ちゃんのほほえみの3週間前に必ず出現
生後、発達してきた赤ちゃんは「あー」「う-」などを発声し始めます。この発声は『cooing(クーイング)』と呼ばれ,social smile(赤ちゃんのほほえみ)3週間前に必ず出現します。
うまれたばかりの赤ちゃんがおられる方は『クーイング』に注意し、気付いたら3週間を楽しみお待ちください。
大変な子育てされた保護者の方への神様の送りものである赤ちゃんとの対話を実感できる時間がやっともてるようになりますね。
生後5~6ヶ月前後で喃語(なんご)の発現
その後生後5~6ヶ月前後で「んまんま」「んーおー」などもう少しはっきりとした発音になります。
これを『喃語(なんご)』といいます。その後繰り返す喃語に発展していいます。
赤ちゃんは当初は言葉で伝えることはできないので、クーイングや喃語を使って感情を伝えるトレーニングをしているわけです。
発声に意味はないものの、声の大きさを変えたり、抑揚を出すことによってコミュニケーションの基礎を学んでいます。
対象の三者関係
生後10ヶ月を超えると指さしをして気持ちを伝えようとする行動がみられるようになります。
赤ちゃん、保護者の方、対象の三者関係の成立です。
意味のある単語を話せるようになるのは1歳前後と言われています。
赤ちゃんの言葉遅れについて
一方言葉の遅れの指摘相談の多くは、1歳半健診の診療場面や保育園の集団生活環境の場面と思われます。
保護者の方々がこの時期での言葉の遅れについて心配となり始めますので、今回はこの時期を中心にご説明していきたいと思います。
1歳の言語発達
1歳代の言語発達は、まず言葉を理解し反応しながら進みます。
定期乳幼児健診ではありませんが母子手帳の1歳健診用のページには、「大人のいうことばがわかりますか?」「バイバイ、コンニチハなどの身振りをしますか?」の言葉の理解と反応の質問項目があります。言語理解反応のチェックの項目です。
実は言葉の理解に関しては、個人差のある言葉の表出と異なり個人差がありません。1歳では必ず”自分の名前を理解”しています。
言葉の遅れについてご心配の方はまずはこのチェックについてご確認されてみてください。
尚同様に2歳では、「picture naming(絵本の指差し)」も個人差はありません。
1歳半の母子手帳には、「ママ、ブーブーなどの意味のある言葉をいくつか話ますか?」という言語表出のチェック項目があります。
この言葉の表出には個人差がありますが、多くのあかちゃんは生後20ヶ月(1歳8ヶ月)には言葉を話し始めます。言葉の遅れについて相談すべき次の時期と考えます。
単語の習得について
さて赤ちゃんの脳が単語を習得するには、1)聴力と知能に異常がないこと、2)言葉の習得を困難にさせるような不適切な言語養育環境問題がないことが重要です。
1)聴力と知能に異常がないこと
言葉の遅れの評価の第一に聴力テストが大切です。検査をされていない方は専門機関での聴力検査をご検討ください。
聴力検査を実施されている方は、検査方法の種類で精度の差がありますので、検査方法も含めご相談されてください。
尚、新生児期の検査が正常にパスされても大変珍しいのですが、後天性の聴力の問題が発症する方もおられることもご考慮することがあります。
2)言葉の習得を困難にさせるような不適切な言語養育環境問題がない
要因の一つに近年ではメディア漬けも心配されています。可能な限り「media- free and timed and media- free place」の環境整備も大切でしょう。
リビングにはスマホは置かないようにされて一緒に食事やお話を楽しまれてください。
先の課題がない環境で、母国語の音声を聞くことで、音声と物や事象とリンクさせ単語の意味を理解します。
最近バイリンガルでのお子さんの言葉の遅れの相談を受けることも少なくありません。
まずは生活拠点とする国の言語の習得することを優先することも大切でしょう。
言語症Language Disorder
1)と2)の問題がない場合で多い要因に「言語症Language Disorder(以前は言語発達遅滞、発達性言語障害の名称が使用されていました)」があります。
聴力、知的発達能力、不適切な言語環境因子、言語を発語するための解剖学的機能的運動問題、対人関係の問題がなく発語が遅れている場合です。
言語の理解はあるも表出の遅れのある「表出性言語障害」と、理解と表出ともに遅れる「受容ー表出性混合言語障害」があります。
なお表出と受容を2つに分けて評価するこが困難のこともあり現在は一つに統合された「言語症」の名称が使用され始めています。
前者の多くは、2〜3歳から発語し始め小学校入学前には改善しますが、後者は介入が必要になる子も少なくありません。
相談チェックリスト
皆様がご心配されるコミュニケーション問題や運動発達の遅れのない精神遅滞についてですが、以下に多く見られる行動を記載します。
複数気になることがおありの方は、主治医とお住まいの発達支援相談センター等にご相談されてください。
・視線を合わせない
・抱いたとき予期する姿勢をとらず抱きにくい
・添い寝を嫌う
・ひとりでほっておけば寝る
・睡眠リズムの乱れ
・強い偏食
・機械的音には振り向くが人の声に反応しない
・一人遊びが多い
・恐い時、眠い時保護者の方にこない
・腕を引っ張って要求する
・人見知りをしない
・初めての人にいる場所(診察室)でも恐れず自分の興味なある物を遠慮なく取りに行く
・特定の物(数字、カレンダー、看板のマーク、新聞囲碁欄等)への強い興味
経過観察となったら
医療機関に受診後経過観察されとなった際には以下の事項もご参考にされてください。
1)ゆっくり明瞭な短い言葉で話しかけてください。耳元で小さな声かけも大切です。
お父さん、お母さんが積極的に話してあげることでその言葉を理解し、コツをつかんだ瞬間たくさん話し出す赤ちゃんもいます。例えば赤ちゃんがしたいことを代弁してみましょう。「わんちゃん、いたね」「お腹いっぱいになったね」「ブーブー動いているよ」など赤ちゃん言葉で話してあげることも大切です。
2)たくさん歌ってあげてください。手遊び歌も良いです。
3)一緒の踊りも良いです。
4)保護者の方と同じ動きをしたり、対人関係の楽しさも教えましょう。
5)「絵本は嫌い?」という子でも、年齢に関係なく本人が楽しまれる絵本、興味なる図鑑でもいいですし、また少し小さい子向けの絵本でもいいです。本屋さんで一緒におこさんが興味を示した絵本を購入されてください。
こども専門の絵本屋さんにいくのも楽しいですよ。そういうお店の方は相談になってくれるでしょう。ネットでは出来ない絵本屋さんの醍醐味ですね。紙にしか味わえない手触り感、口触り感、香りを楽しんでもらいましょう。
絵本を見ながら保護者の方の声や表情も一緒に与えてください。
6)可能な限り「media free and place」の環境整備も大切でしょう。
テレビや動画では言葉は多いですが、自分のペースで理解することができないのでお勧めはしません。赤ちゃんの発声を促してあげるには親が積極的に話してあげたり、絵本を読み聞かせたりしましょう。
7)家でなく自然のなかでいっぱいハイハイの時間もとらせてください。
8)現在新型コロナも流行し心配はつきませんが、お子さんが嫌にならない程度に同じ年齢のいる集団生活もおすすめです。
9)最後に保護者の方の焦りは禁物です。保護者のかたもリラックスできる時間を少しでもいいので作れるといいですね。もし難しい時は漢方処方のできる小児科医に相談をされますと「子母同服」するとお互いの過剰な高揚状態を改善する処方もしてくれるでしょう。
その後の言葉の発達の遅れについてはまた別のコラムとさせていただきました。
親身になっていただける主治医がみつかるといいですね。
理学療法士・義肢装具士の資格を持つAHSJapan編集メンバーがヘルメット治療や赤ちゃんの頭の形に関するコラムを交代で執筆・ヘルメット治療体験談を掲載しています。
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