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スターバンドブログ

赤ちゃんの軽度の頭部の外傷は、小児救急外来でもよく相談をされる疾患です。
赤ちゃんが、まだ寝返りしない月齢でも足を動かしソファーから転落したりし思わぬことからご心配をされて当院にご来院されることも少なくありません。多くは、大事に至らない場合が、大半ですが、親御さんの心配は想像以上にあると思われます。
赤ちゃんの頭部の外傷の対応について
赤ちゃんの頭部の外傷の対応について主に2つのことについてお書きしますので、ご参考になれば幸いです。
経過観察
頭部外傷の重傷化の多くは、6時間以内に発症します。一方それ以後に発症するのは、2万人数人とされていますので、しばらくはお子さんを慎重に観察されることは大切です。
医療機関に受診後も1歳未満は少なくとも48時間、1歳以上は少なくとも24時間は慎重に経過観察してください。何かおかしいと感じた保護者の方は、医療機関に是非ご相談をされください。
重症度の予測について
諸外国と日本においても医療側も完璧に頭部外傷の重症度を来院時のみで臨床的に予測することは、現状困難であることを認識されることも大切です。
それゆえ医療側とご家族の方との話し合いの中で方針を決定する必要が大切です。
医療従事者は、常にお子さんに寄り添っておられる保護者の方々が、「いつもと違う」と相談された時は、慎重な心構えになります。「こんなことで相談してもいいのか?」と思わずにまずはご相談をしてください。
小児頭部外傷時のCT撮像基準の提言・指針
日本では、2019年に3つの学会(日本小児放射線学会・日本小児救急外来学会・日本小児神経外科学会)から「小児頭部外傷時のCT撮像基準の提言・指針」作成の報告がされました。
参考されているのは、以下の3つの資料です。
【参考サイト】米国
PECRAN(Pediatric Emergency Care Applied Research Network)
【参考サイト】カナダ
CATCH(Canadian Assessment of Tomography for Childhood Head injury:2010)
※CATCH2:2018更新
【参考サイト】英国
CHALICE(Children’s Head injury Algorithm for the Prediction of Important Clinical Events:2006)
NICE(National Institute for Healthy and Care Excellence)
※上記以外の他の有用な参考ツール:NEXUS II(National Emergency X-Radiography Utilization Study II)尚、参考にされた報告の目的は、少量の頭蓋内出血や骨折を見つけることではないことに注意しなければなりません。
また未診断の血液凝固系疾患を合併するお子さんや基礎疾患があるのお子さんに関しても対応困難な指針であることも考慮する必要があります。
以上を踏まえて、頭部の外傷に関しては、軽傷と思われても小児に精通した医療機関にまずは相談をしてください。
繰り返しですが、CT撮像等の放射線被ばくリスクも含め医療側とご家族の方との話し合いの中で方針を決定する必要が大切です。
早急に病院への事態
・普段と違う
・顔色が悪い
・非常に機嫌が悪い
・赤ちゃんがミルクの時間になってもい起きない
・繰り返し吐く
・意識がない
・けいれんする、目の動きがおかしい、手足の動きがおかしい、力が入っていない
・鼻や耳から液体が出る
・ぶつけた部位の大きな頭皮の血腫
・ぶつけた部位以外の頭部の皮下血腫
・自転車や自動車等速く動く乗り物との衝突事故や車内交通事故
・90cm以上の高所からの転落
・頭部以外の外傷
軽傷の頭をぶつけたときの応急処置
家で応急処置をする際は、症状別に以下の対処が効果的です。ただし、あくまでも応急処置です。状況に応じて医療機関への相談を検討ください。
皮下血腫で腫れている場合
保冷剤やビニール袋に入れた氷にタオルを巻いて、患部に優しく当てて冷やしましょう。冷えすぎる場合は濡らして固く絞ったタオルやガーゼで冷やす方法も効果的です。尚ヒエピタ等での気道の閉塞にはご注意ください。
出血している場合
清潔なタオルやガーゼを出血部分に押し当てて、しっかりと圧迫して止血します。
吐く場合
嘔吐したものが詰まって窒息する恐れがあるため、横向きに寝かせて口から出やすいようにします。病院に連れて行く間や救急車を待つ間も、嘔吐したものを詰まらせないように気を付けましょう。
ヘルメット治療中「スターバンド治療中」の頭部外傷
スターバンドは転倒(ケガ)防止が目的のヘルメットではありませんので、上記のような症状がみられた場合は医療機関にもご相談ください。
かただ小児科クリニック 院長 医学博士
【経歴】
慶応義塾大学病院小児科で初期研修後同大学勤務・東京都立清瀬小児病院(小児循環器・小児麻酔:現東京都立小児総合医療センター)・他慶應小児科関連病院勤務
【講師・委員】
獨協医科大学越谷病院小児科講師・埼玉県立大学看護学科非常勤講師・チャイルドシート検討会委員(日本小児保健協会)ほか歴任
【学会等】
日本小児科学会・日本渡航学会(認定医)・日本小児東洋医学会、日本小児心身症医学会会員ほか
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